ALL iz thiik hai! 一社会言語学者のブログ

社会言語学&バイリンガリズム&南アジア系移民 研究を中心とした自分の思索の記録 ALL iz thiik hai とは、訳すと「ALL is オーケーだ」。かなり色々なものをかけたマニアックで深ーい表現。

学振特別研究員→大学教員着任1年目で出産ー2つの注意点

産後の体調の経過も、子どもの体調も順調。育児休業から復帰し、先週末から研究会等に行き始め、久々に本務校に。

 

着任からもう妊娠していたのだが、本務校には大変によくしていただいて、ありがたかった。自分の耳に入る範囲内では、嫌味ひとつ言われず、ポジティブな声をたくさんかけてもらった。(面接のときに教員の雰囲気がいいなと感じていたのは、間違ってなかった)

 

自分の身の回りにこのタイミングで妊娠出産した人がいなかったので、若手研究者・大学教員として後進に、あのとき知りたかった「こうだったよ」は山ほどある。

が、2点だけ、重要な点にしぼって、ここに記しておく。

 

1.新任1年目だと、育児休業中に給付金が下りないことがある 

 育児休業給付金が下りるのは、雇用保険(ハローワーク)からで、これには条件があるー12か月以上、雇用保険に加入していること。

 私は前年度まで日本学術振興会特別研究員(専業義務はあるが「雇用ではない」ので雇用保険の対象外)。そのため、給付金が下りなかった(育休に入ってから、本務校の人事課から「ハローワークに行ったら、雇用保険の加入月数が満たないのでダメといわれた」という連絡が入った)。つまり、ハローワークからも私学共済(健康保険)からも大学からも、給付はないので、育児休業中(産後9週目以降)は無収入になった。

 (なお、産前産後休暇中は、大学からフルで給与が出ていたので、当座をしのぐことができたのはよかった。)

 

2.産休育休中は、研究費が使えない 

こちらは該当者が1よりもずっと多いし、専任職でなくてもそうなので、よく知られているだろう。

産前産後休暇中(出産予定日前6週間~出産後8週間)と育児休業中(出産後9週以降)は、研究費が使えない。

しかし、厳密にいうと、雇用主によるようである。

うちの大学では産前産後休暇中は研究費(これは科研費ではなく大学からの個人研究費)が使え、育児休業中は使えないようだった。これは、うちの大学では、産休中は給与が出ていて、育休中は出ていないことと関係があるかもしれない。つまり、出産予定日6週間前から職場復帰まで、原則、本一冊から自腹になる。

 

少子化社会・人材不足の時代において

 2の、産休育休中は研究費を使えないというのは、研究が個人単位で行われているなら、しかたないと思う。もちろん、理系みたいに、ラボを運営しているとか、チームを率いている場合は、産休育休中でも使えるようにしなければならないが。しかし、1は是正した方がいい問題ではないかと思う。

 研究者(未来の大学教員)はなかなか雇用保険に入れない。専業非常勤だったり、大学院生だったり、日本学術振興会特別研究員だったりすると、雇用保険の対象外である。しかし、出産には多少のタイムリミットがあるので、専任着任がただでさえ遅いのに、さらに2年目以降に出産となると、かなり遅くなるし、女性一人あたりの出生数も減るだろう。

 雇用保険12か月加入していないと支給されないというのは、研究者だけでなく、すべての職種に当てはまるので、少子化対策としてなんとかならないのかなあ、と思う。1年経っていない段階で出産する場合は見なし加入として給付金を給付して、復帰後に必ず加入していなかった分を納めなければならない、とか。