ALL iz thiik hai! 一社会言語学者のブログ

社会言語学&バイリンガリズム&南アジア系移民 研究を中心とした自分の思索の記録 ALL iz thiik hai とは、訳すと「ALL is オーケーだ」。かなり色々なものをかけたマニアックで深ーい表現。

購入して8年以上ー月経カップのメリット、使い方、その他

時々ネットで話題になったりならなかったりの月経カップ。昨年の台風の時期だったかに、話題になり、色々な使用感の感想が出てきた。最近は、新型肺炎の感染拡大とどう関係するか全くわからないが、買い占めが起きたと言う。デマや極度の不安からの買い占めに関しては、肯定も否定もしないが、せっかくなので、他ではあまり言われてないことも含めて、その使用についてをシェアしようと考えた。

月経カップのメリットは、単にゴミを減らし、生理用品の買い占めや災害時等にも不安にならなくて済むようになっただけではない。自然派や子宮系スピリチュアル(!)とは異なる形で、自分の体を知ることができる、というメリットもあった。そのような点も含めて、ここに書いておこうと思う。

(注*私は、月経カップの使用について、医療関係者に相談したり、アドヴァイスをもらったりしたわけではない。基本的には、私の買った商品のウェブサイト等にあったマニュアルを参考にしている一方で、ここに書いてある私個人の使用方法は、マニュアルから逸脱したものもある。そのため、ここにある通りに月経カップを使用して不具合が起きても、私は一切責任を負わない。)

月経カップとの出会い

私が月経カップのことを知ったのは、留学先のロンドンだった。大学か図書館かの女性トイレのドアにシールが貼ってあったのか、それとも他の形でしったのか、もう忘れてしまった。イギリスでもおそらくマジョリティが使っていたわけではないだろう。(なお、イギリスでは日本よりもナプキン派に比べてタンポン派が多いと体感的に思う)

結局はゴミになる生理用品を買い続けなくてよくなる、という宣伝文句に惹かれ、ネットで詳細を読んでから、試しに買ってみることにした。なお、月経カップには商標登録か意匠登録か何かがあるらしく、イギリスで売っているものはアメリカで買えず、アメリカで売っているものはイギリスで買えない。名前もデザインも若干違う。そのため、私はイギリスで最も商品サイトがしっかりしていてお値段もまあまあしっかりの某社のもの(そもそもそんなに選択肢はなかったがー2,3社ほど?)をamazon.ukから購入した。出産経験のある人用とそうでない人用の2サイズで、もちろん後者を購入した。

月経カップーまだ使っているの?

 購入して、8年が経過した。
 近年は、妊娠〜出産〜授乳していたので、一時期使っていなかった。また、他にも様々な理由(後述)で使っていなかった時期があった。一時期はナプキンを全く購入せずに済んでいたが、近年は時々ナプキンも使っている。

装着しやすいの?

 全く問題なかった人から、苦労した人まで、ネット上の使用談は様々だ。私はタンポンも苦手だったので、最初は本当に時間がかかった。買ってすぐは使えなかった。でもいったんなれたら、体の調子にもよったかもしれないが、普通にさっと出し入れできるようになった。そして、何を隠そう、最近また久々に使おうとしたら、出し入れにだいぶ時間がかかって、途中でやっぱり病院に行こうかと思ったくらいだ。これはどういうことか。この先に少し書いてみたい。

 でも、このすぐに使えなかったところが、とても大切なことをしるきっかけになった。

 昔は(まあ今でもそうかもしれないが)、タンポンだけでなく、医師(女性)の指一本しか入れないような婦人科検診もとても苦手だった。いつか、赤ちゃんの頭が通過するところなのに(結局通過しませんでしたが―そして、妊娠期は特別なホルモンが出るので、通れるようになるとも知ったが)。月経カップのウェブサイトでは、「処女」でも「処女でなく」ても、誰もが使えると明言していたし、ナプキンにさよならしたいという決心から、頑張ろうと思った。

どうやって装着できるようになったの?

 何を頑張るか、というと、精神面だ。何かを入れることへの精神的抵抗感が、体のこわばりを生んで、月経カップの装着を妨げる。できるだけその恐怖心や抵抗感を和らげようと努力した。そして、このようなことに苦しんだり悩んだりしている人は、意外といるということも、ネット上でしった。vaginismusで調べると(なんといまは日本語訳も出る時代!)いろいろ出てきた。処女膜のウソ、なんかも詳しく知ることができた。

 そのような意識改革??自己セラピー??のおかげで、少ししたら、装着に成功した。最初の1,2回は装着も外すのも大変だったし、違和感ある、と思ったが、商品サイトと口コミの通り、すぐに慣れた。

月経カップのわかりやすいメリット

 いったん使えるようになると、本当に以前と比べて生理が段違いに心理的に楽になって、手放せなくなった。ナプキンの在庫を確認しなくていい。特にイギリスにいたので、高くて気に入らない不快なナプキンを買わなくてよかったのは、嬉しかった。旅行に行くときも、これ一つを忍ばせていればOK。外出先に生理用品を捨てるゴミ箱がなくても大丈夫だし、人の家とかにいるときに(当時はフラットシェアだったし)捨て場に困ることはないし、トイレ行くときにナプキン持っていかなきゃみたいなこともない。本当に自由だった。

公式ウェブサイトに書いていないが、意外と注意しなければならない点

 月経カップのデメリットの一つは、乾かすときの置き場に困ることだ。そしてちょっとどこか人に見えづらいところにと思っておいておくと、どこにやったかわからなくなったりする。そのようなわけで、自宅でも行方不明になって使っていなかった時期もある。
 一度、パキスタンの知人宅に忘れていってしまったときは、本当にあせった。ちょうど生理中〜生理終了くらいの頃で、洗って、乾かしている間に忘れてしまったのだ。ちなみにパキスタンで忘れた当時(まあ今でもだが)日本では同じものが手に入らなかったので、とてもショックだった。かつ再度すぐ買い直すほどには安くなかった。幸い、この知人にまたすぐ会う用事があって、月経カップは手元に返ってきた。知人(女性)に何度かこれは何か聞かれたが、恥ずかしかったし、汚いと感じるだろうから、言わなかったが。

健康上、問題はないの?

 月経カップの公式ウェブサイト等には、きちんとした使用方法(使用期間中は、一定時間経ったらちゃんと時々抜いて中身を空にする、使う前は使った後はそれなりに清潔にしておく)をしていれば、問題はないと書いてある。
 月経カップの使用は、実家家族にも心配された。欧米でちゃんと使って問題ない人たちがいるんだ、商品サイトもしっかりしている、と主張した。
 ちなみに、数年後、卵巣嚢腫が発覚し、手術になったとき、月経カップをしっかり消毒してないからそんな病気になったのではないかと言われた。商品サイトにも、卵巣嚢腫の仕組みを調べても、そのようなことは書かれていなかった。でもやっぱり手術するまでの数カ月は、体を労ろう(?)と、少し精神的に月経カップを使いたくなくなった。ここでもまた月経カップからしばらく離れていた。手術後、実家は医師に、月経カップが卵巣嚢腫に関係しているか聞いたらしい。そして、全く関係ない、という答えを得た。ようやく月経カップと病気の因果関係の否定を家族も理解してくれた。

 また、おそらく妊娠にも影響しないだろう(もちろん、月経カップの仕組みを考えても、妊娠に差し障るようなことはないはずなのだが)。卵巣嚢腫の数年後、私は妊娠しようと試してみたらすぐ妊娠し、予定日近くまで安定していた。子も元気に育っている。

本当に健康上なんの問題もないの?

サイズや素材によるのかもしれないが、月経カップを入れると、やはりその分ほかの内臓が圧迫される。なので、トイレが近かったり、少しずつになったり、腸の膨満感が少ししたりするかもしれない。妊娠したことのある人ならわかると思うが、ちょっと尿道や腸が押されてても、持病がない限り(この点は全くの憶測で言っているので、医師等の専門家にご確認を)、大丈夫かと思う。妊娠時は月経カップの何倍どころか2桁倍のサイズの胎児があなたの体内を圧迫するのである。なお、正直に告白すると、出産以降は、月経カップを使っている間に、たまに痔みたいになる(が、ならないときもある)。

月経カップでも血は漏れるか漏れないか問題ーサイズが合わないの?

私も多い日の寝ている間に漏れたことが何度かある。原因は、ぴったりフィットしていないことだと思われる。私の月経カップは少し私には大きいのかもしれない。寝ている間に奥ないし上に行き、目が覚めてから両太ももを上げたり体を折り曲げたりしてさらに奥に滑りこんでしまい、その後起き上がったりしたときに、隙間ができて漏れるんだと思う。どういうパターンでどう漏れるかは、月経カップの大きさや形と、そのときどきの体のコンディションや動きかたによるのだろう。私も、毎回漏れるわけではない。一方で、私の場合は、ここに挙げた条件以外で漏れたことは一度もない。なので、私の使っていた商品のサイトの通り、市販のサイズの殆どが、多くの人に多かれ少なかれフィットするのであり、サイズは参考程度で、全く合わないということは少ないのではないかと思う。

消毒しているの?

消毒についてだが、いまはレンジ消毒とか便利な道具があってよかった、と思っている。煮沸消毒は面倒だし恥ずかしいし心理的に食用の鍋でやるのは気持ち悪い。大声で言えないが、きちんと中性石鹸で水洗いして乾かしておけば、膣にも自浄作用がある、とどこかに書いてあったようななかったような…

使用中、中身を空にしたときはどうしているの?

外出時は、トイレに流した後(この行為の好き嫌いはあるだろうが、私に関しては、イギリスの昨年あたりの記事にあった「汚い生理用品捨てるより精神的に気持ちいい」に同感)、水で洗うか、トイレットペーパーで軽く拭いている(しっかり拭くともしかしたらトイレットペーパーがついちゃうので)。日本のきれいなトイレがあるところでは、ウォシュレットがついていることがよくあるので、ウォシュレットで洗ったりしている(便利!)。諸サイトにあるように、トイレ行くたびに流さなくてもいいと思うが、きっとこれも量やお好みかと。

抜けなくなっちゃったら?

まず落ち着いてください。ゆっくり深呼吸して体をゆるめる。で、抵抗あるかもしれないけど、頑張って指を入れて月経カップの下の丸い部分を潰す。潰したまま引いていけば抜ける。意外と痛くない。指入れるのは痛いかもしれないが、直感に反して、月経カップが出てくること自体は痛みを感じることは少ないと思う。タンポンや指二三本に比べてあんなに太く見えるのに!!一度抜けなかったら、少しお休みしてまたチャレンジしてみてください。なお、狭いトイレだとやりづらいので、寝室等のほうがいいかと思う。

どうしても装着できない場合

これも辛いですね。ある生理周期のときに一度入れられたら、再度入れ直すのはそう大変ではないと思う。一方で、生理が来て初回で入れるのは苦労することもあると思う。ここでもやっぱり落ち着いてリラックスして体を緩ませる必要がある。私の使っている月経カップのサイトには水で濡らした方が入れやすいとあった。別にたまにナプキンでもいい。私もたまに使用を見送ったりする。

結論

初めに書いたが、月経カップの装着は一回でできるかもしれないし、できないかもしれない。精神的または肉体的に入れたくないときもあるかもしれない。一旦慣れても、また入れるのに大変な苦労をすることもあるかもしれない。違和感があるときもあれば、ないときもあるかもしれない。ナプキンと比べれば漏れないことの方が圧倒的だが、漏れることもあるかもしれない。それでも、私にとっては、ナプキンを使用した生理よりも断然QOLが上がり、本当に楽になったので、おすすめしたい。エコだし。別に毎回毎回、月経カップを使わなければならないわけではなく、使いたいときはナプキン使う、でいいんじゃないか。それでもエコになるし。