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ALL iz thiik hai! 一社会言語学者のブログ

社会言語学&バイリンガリズム&南アジア系移民 研究を中心とした自分の思索の記録 ALL iz thiik hai とは、訳すと「ALL is オーケーだ」。かなり色々なものをかけたマニアックで深ーい表現。

『在日パキスタン人児童の多言語使用』を出版してよかったこと

先週後半は、拙著『在日パキスタン人児童の多言語使用』を読んでくださった、私の存じ上げない非研究者の方と、オンライン、オフラインでお話しできました。

 

お二人とも、それぞれ、図書館で借りて読んでいただいたそうで、嬉しかったです。

 

本を出版してよかったことは、その先の対話が生まれることです。

読み手だったときは、情報を伝えることが使命だと思っていましたが、書き手としては、それよりも、その反応がずっと面白いです。

 

今回の出版は、学術書出版助成を受けていることもあり、学術書出版を中心にしている出版社のアドヴァイスにおまかせし、元の博士論文に近い形で出版しています。一般向けに書きなおしたいと申し上げたら、もっと偉くなってから書けばいいとの趣旨のアドヴァイスを頂きました。とても残念でしたが、研究者のキャリア形成の観点からは、それは大変的確なアドヴァイスでした。

 

研究的には、記述に終わっているところ、肝心の構想のところの論「言語を切り替えるコードスイッチングと、言語内で話し方を変えるスタイルシフトを同列に扱って分析してみてはどうか」がしっかり構築されていないところが、まだまだ改善の余地がある、と思います。本書にも書いたような気がしますが。

 

ほか、何人かに言っていただいたことは、特にエピローグ等、在日パキスタン人の子供たちの生活世界や進んでいく人生が垣間見えるところがとても感慨深かったようです。私としても、フィールドワークはたくさんの小さな感激がいっぱいですが、それらは研究には書けないので、博士論文を書きながら、ドキュメンタリー作家になりたかったな、と思いました。

 

当該モスクの方々には献本が「難しくてわからなかった」と言われ、本当に心苦しかったです。あの本、わからなくて当然です。少し勉強してダブルアクセルとトリプルアクセルの見分けがつくようになっても、高得点のトリプルアクセルと低得点のトリプルアクセルは、勉強しないと見分けられないのと一緒だと思います。

献本させていただいているのは、お礼のしるしなので、「これくらい読んでわかるでしょう」「わかってください」という意味じゃないんです。本当にごめんなさい。