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ALL iz thiik hai! 一社会言語学者のブログ

社会言語学&バイリンガリズム&南アジア系移民 研究を中心とした自分の思索の記録 ALL iz thiik hai とは、訳すと「ALL is オーケーだ」。かなり色々なものをかけたマニアックで深ーい表現。

書籍『在日パキスタン人児童の多言語使用ーコードスイッチングとスタイルシフトの研究』山下里香・著(2016年2月、ひつじ書房)

『在日パキスタン人児童の多言語使用ーコードスイッチングとスタイルシフトの研究』
2016年2月刊行 ひつじ書房

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 内容は、関東首都圏のとあるモスク内での子供たちの、会話内での日本語・ウルドゥー語・英語など、言語や言語スタイルの切り替えのパターンに関してです。

 人間は、無造作に言語を切り替えているわけではなく、意識的・無意識に、会話の流れや自分の主張に合わせて豊かに言語を切り替えています。言語学ではコードスイッチングというのですが、本書は日本初の日本国内のコードスイッチングの実例を含む単著(論集ではなく、一人の研究者が一貫して書いた)研究書です。本書は、言語間(日本語・ウルドゥー語)だけでなく、同一言語内のスタイル間(日本語・南アジア風の日本語・ですます体・役割語)の切り替えも見ています。


 本の章立て等は出版社のページをご覧ください。

 

 

 裏話をすると、ハードカバーの研究の専門書ということで、500部刷っています。お値段はります。が、それでも国から、研究書の出版助成に応募し、100万円強ほど獲得して、これです。

  学会等では2割引でのご購入が可能です。この500部のうち、60部ほどは私が買い取っております。あと百数十部売れると、出版コストの採算がとれるそうです。ちなみに、再版しない限り、私には印税はないので、こんなに高くても儲けが出ているわけではないんです。(採算取れないと、さらにその分私が「お買取り」に…)

 この場でも、再度、お世話になった皆様方に御礼申し上げます。

 

 ちょうど、社会言語科学会の徳川宗賢賞受賞(2016年3月)のときに、学会の出版社ブースでお披露目となりました。

 

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 残念ながら、専門書であるため、内容が難しく、研究関係者以外にはちょっとコストパフォーマンスがよくありません。学術書は、経済的な利益にはならないのですが、学校や図書館等にあったらアクセスしやすい公共の知識の媒体です。ぜひ大学や職場や公立図書館等に購入希望を出してくださると、皆様もちら読みできますし、未来の読者のためにもなるので、大変ありがたいです。

 本書をきっかけに、外国人やバイリンガルの子供たちのことばに対する偏見が減り、ムスリムコミュニティが身近に感じられ、人間の言語使用現象に関する洞察が深まる読者がひとりでもいますように、と思っています。どうぞよろしくお願いいたします。いつか、似たようなテーマで一般書が出せればいいなと思います。もう少しえらくならないと難しいのです…。

 

 今のところ、カバーのデザインがきれいだというコメントを多数の方からいただいています。カバーだけでなく、カバーをとった本体の表紙にも柄がついていて素敵ですよ。

 

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 東大生協書籍部(本郷キャンパス)の新刊人文学系、または言語学系の棚にあります。

 下手すると、国内で唯一現物がある書店です…。

 実は、東大生協書籍部だと、立ち読みならぬ座り読みもでき…

   (追記:2016年11月16日時点でもありました)

 

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P.S. よく、著者割引で譲っていただけないか、というお話を聞きます。ありがたいお話で、お引き受けしたいところですが、著者割引は個人取引なので、正式な領収書が出ません。学会等では著者割引と同じ価格で販売していることが多いので、どうぞそちらをご利用ください。学会で売れても、私が売っても、私の利益が減ったり増えたりすることはないです。