ALL iz thiik hai! 一社会言語学者のブログ

社会言語学&バイリンガリズム&南アジア系移民 研究を中心とした自分の思索の記録 ALL iz thiik hai とは、訳すと「ALL is オーケーだ」。かなり色々なものをかけたマニアックで深ーい表現。

日系カナダ人日英コードスイッチング研究のまとめ(作業中)

 日英コードスイッチングは、社会言語学の教科書でよく言及されるが、ほんの短い紹介で終わる。そのため、どのように研究され、どのようなことがわかったのか、あまりよく知らない人も多い。

 Nishimura(1951-2004)はハワイでの交通事故で亡くなったし、コードスイッチングの研究も盛んではないし、学術的な潮流としても時代遅れとなり、この興味深い研究データは、あまり省みられることがない。

 ここで少し、その研究に関して、詳細なメモをとっておくことにする。

 主に、次の二つからの情報をまとめている。

Nishimura, Miwa (1995) Varietal conditioning in Japanese/English
Code-switching. Language Sciences, Vol. 17. No. 2, pp. 123-145,

Nishimura, Miwa (1998) Japanese/English Code-switching: Syntax and Pragmatics. Peter Lang.  

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映画『十四夜の月 Chaudhvin Ka Chand』 (1960)

グル・ダットGuru Dutt作品は、2作見ているが、

約10年ぶりにまた別なものを見る機会に恵まれた。

 

『十四夜の月 (Chaudhvin Ka Chand)』 1960年インドの映画。

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書籍案内:日本語で読める「社会言語学」の教科書~PART 1

 社会言語学的トピックを扱っている日本語の書籍は意外とある。

 ここでは、 大学の教養科目・専門科目「社会言語学」の

 概説の教科書を、古いもの順に、簡単に紹介する。

 今回は、パート1として、2001年までの教科書を紹介する。

 

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差別的多言語使用、Mock Spanishとは

Mock Spanish (Hill 1995) の要約

 

- 直訳すると、疑似スペイン語、または嘲笑スペイン語

- 南米原住民を専門とする言語人類学者Jane Hillによる概念

- アメリカの非スペイン語話者(たいていはアングロ・ヨーロッパ系アメリカ人)が、基本的に英語のコミュニケーション内で使う、ちょっとしたスペイン語のフレーズ

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「恋愛工学」で思いだしたこと―「自動化できる関係が理想の人間関係」と語った理系男性A(元カレ)

 いつも話題に遅れているのだが、「恋愛工学」という概念をしった。

 

 「恋愛工学」とは、物理学PhDを持つ外資系金融マンがメルマガで公開している、(男性向けの)恋愛(=ナンパ)メソッドらしい。

 

 人文社会系学問をやる身としては、「婚学」を教える大学教員(理系)に続き、「科学的知識」の曲解というか、人間の生み出すイデアの世界を理解していない「理系男性」の見る世界の恋愛論が生まれたのだな、と思った。試験管で起こることと、実際の環境変数のもと起こることは、同じとは限らない。ただ、「またか」というよりは、外資系金融マンとか、コンサルとか、理数系PhDとか、またそういう「勝ち組」のせいで自分たちは恋活婚活で苦戦していると思う人たちが、地方大学の理系大学教員と学生よりは、私にとっては身近だったので、関心をもった。

 

 私はかの昔、工学系院生の男性と付き合っていた。彼は工学系の中でも自称他称で「コミュニケーション能力に長けている」人で、同期や指導教員から信頼され多くを期待される優等生だった。多くの同期と違って、恋愛経験もないわけではないので、経験が少なくても、異性に対して自信があった。数学や工学が大好きなのが変に思われるかもしれないけど、(オタクではなく)飲み会やドライブなど普通のことも好きだし、というのが彼のアイデンティティだった。

 

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言語&ジェンダー:「可愛くなる方法をお教えしますわ!そしてお金払ってくれれば、婚活日記の詳細を見せてあげますわ!」

最近、語尾について調べている。

それで、今日検索でヒットしたのがこれ。

 

ブログ「もうちょっと幸せになる方法―今より「もうちょっと」幸せになれるような情報をお届け!」の次の記事:

「可愛い話し方!「わ」「よ」「ね」の3つを語尾につけるだけ」(2016年4月15日)

より…。

 

ここでほぼ全文引用しますので。リンク先に飛ぶ必要がないくらい。

いちいちしつこくコメントしていきますが、

オチは最後の方、大きい字で…。

 

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異文化間コミュニケーション日記:「ガイジンと思われないため」の年賀状

最近あった、とある英語圏英語母語話者Cさん(客員研究員、いわゆる「アングロ系男性」)と、私(L)の会話である。

(実際は英語)

 

C: ちょっと教えてくれませんか、年賀状の送り方。

L: いいですよ。

C: 受け入れの先生に、年賀状を贈りたいんだけど、どうすればいいかな。この研究所宛に送るべき?それともご自宅?

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研究:学術誌『社会言語学』XVI (2016) 内、書評『英語教育と文化・人種・ジェンダー』

そろそろ『社会言語学』XVI (『社会言語学』刊行会、2016)が来そう。

 

http://www.geocities.jp/syakaigengogaku/2016.html

 

 このたびは、初めて書評を掲載するに至った。

 評書は、久保田竜子(著)・奥田朋世(監訳)『英語教育と文化・人種・ジェンダー』(くろしお出版、2015年)。

 

 この書籍は、これまでカナダBCを拠点とする長野県出身のRyuko Kubota氏が英語で発表してきた数十本の論文を、日本語に翻訳し、2冊にまとめたシリーズの第2巻である。

 

 本号では、拙稿を含めたそれぞれの書評と、それらに対する著者らの応答があるそう。

 

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書籍『香港を知るための60章』吉川雅之・倉田徹編著

吉川雅之・倉田徹編著『香港を知るための60章』

(明石書店、2016年3月発行、2000円+税)

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これはすごい本!エリアスタディーズシリーズの中の傑作!

政治経済からサブカル、香港のイスラームやトレッキングまで網羅。

 

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書籍『在日パキスタン人児童の多言語使用ーコードスイッチングとスタイルシフトの研究』山下里香・著(2016年2月、ひつじ書房)

『在日パキスタン人児童の多言語使用ーコードスイッチングとスタイルシフトの研究』
2016年2月刊行 ひつじ書房

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 内容は、関東首都圏のとあるモスク内での子供たちの、会話内での日本語・ウルドゥー語・英語など、言語や言語スタイルの切り替えのパターンに関してです。

 人間は、無造作に言語を切り替えているわけではなく、意識的・無意識に、会話の流れや自分の主張に合わせて豊かに言語を切り替えています。言語学ではコードスイッチングというのですが、本書は日本初の日本国内のコードスイッチングの実例を含む単著(論集ではなく、一人の研究者が一貫して書いた)研究書です。本書は、言語間(日本語・ウルドゥー語)だけでなく、同一言語内のスタイル間(日本語・南アジア風の日本語・ですます体・役割語)の切り替えも見ています。


 本の章立て等は出版社のページをご覧ください。

 

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